[ Diagram ] 2007年 2月 1日 中原本線ダイヤ改正について

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04.近年のダイヤ改正について

04-2.2007年 2月 1日 中原本線ダイヤ改正

1.ダイヤ改正の概要

 中原本線のダイヤは,宮ヶ瀬線柚木支線全通(1992年)以後の輸送動向の変化に伴う1994年のダイヤ改正以来,小規模な修正を除き,ほとんど変更されておらず,さらに昼間時や夕ラッシュ時(ピーク時)等は1975年の都営三田線との直通運転開始以来,基本的な構造があまり変化していない。

 そのような中,中原急行5000系(抵抗制御車),都営6000系が引退し,列車の加減速性能,高速性能向上による運転時分短縮に合わせ,中原本線のダイヤ改正を実施した。
 また,夕ラッシュ時を中心に,輸送力が過剰となっている時間帯・区間の輸送力を調整し,必要車両数,人員の削減を図った
 現在に至るまで,特に修正なく,今回の2007年のダイヤ改正が現在のダイヤとなっている。

 今回の輸送力の調整は,1993年以降続く長期的,構造的要因による輸送量の減少を意識的に考慮したもので,全般的に減量基調となっているが,他方で資源の再配分により,輸送改善を実施し,利便性の向上を図った。

 なお,余剰となった車両は,老朽車両の廃車による車両数削減に充てた。一方,余剰人員は宮ヶ瀬線に転属させ,今後の宮ヶ瀬線の増発に対応する人員とし,2008年10月のダイヤ改正による「宮ヶ瀬ライナー」増発による輸送改善に充てた。

 

2.検討の経緯

 中原本線では1993年より輸送量の減少が継続しており,これが沿線の構造的な要因(主として少子高齢化)に因るところが大きく需要の底上げは容易ではないと見られていた。
 他方,以前から夕ラッシュ時を中心に輸送力が過剰となっている時間帯・区間があり,これに折からの輸送量の減少が追い討ちをかけていた。さらに現在(ダイヤ改正以前)のダイヤは,夕ラッシュ時が最も必要車両数・人員が多くなっており,夕ラッシュ時に宮ヶ瀬線から増援を受けてはいるが(朝ラッシュ時は宮ヶ瀬線,夕ラッシュ時は中原本線で運用),運用効率が悪い状況であった。

 これらから夕ラッシュ時の運転見直しが大きな課題となっており,需要に見合った供給体制の構築,要するに事実上の減便が検討されていた。ただし,都営三田線に多くの列車が直通運転している関係から,都営三田線の運転間隔に中原本線のダイヤが大きく影響を受けており,選択肢は然程多くはなかった。また,減便をする場合,収益が減少しないよう,競合路線への利用者の流出に留意する必要もあった。

 これらを踏まえ,旧型車の引退によるスピードアップに合わせ,今回のダイヤ改正が実施された。

図表15.輸送の推移

 

3.スピードアップ

 中原急行5000系(抵抗制御車),都営6000系が引退により,全車VVVFとなり,加減速性能,高速性能が向上したことによるスピードアップを実施した。なお,これに付随して必要運用数も若干減少し,朝ラッシュ時の増発を可能とした(後述)。

図表16.主要区間所要時間の比較

 

4.種別体系の見直し

 従来は,朝ラッシュ時のみ運転の通勤急行通勤快速を除くと,急行と各停の2種別のみ設定されていたが,柔軟に輸送力を提供するため,及び多摩丘陵地区の急行通過駅の利用者に対都心方面への直通速達サービスを提供するため,途中から各駅に停車する「区間急行」「準急」を新設した。

 区間急行は,主に夕ラッシュ時下りに設定され,従来の急行の1/3〜1/2を置き換えた。同時に各停の一部を神保原止又は新町止とすることと合わせ,輸送力の調整を行った。

 準急は,主に早朝上り,夜間下りに少数設定され,こちらも区間急行同様に,各停の運転区間短縮と合わせ,輸送力の調整を行った。

 これらの輸送力の調整及び上記のスピードアップにより,列車走行距離,車両走行距離ともに減少し,必要車両数を8%(38両)削減することに成功した。

図表17.ダイヤ改正以降の種別体系

 

5.各時間帯の主な変更点

 ここでは各時間帯の主な変更点を記す。なお,ダイヤの詳細は別項「中原本線のダイヤ」を参照されたい。

(1)早朝時間帯

 従来,始発列車は原則的には05:00以降としていたが,実際には出庫関係を中心に4時台の列車が設定されたいた。しかし,需要,労務環境,沿線環境等を考慮し,一部を除き始発時刻を繰り上げた。なお,これに伴い,新たに中野,三ヶ木の両駅に夜間滞泊が発生した。
 また,同時間帯は,羽田空港早朝便,新幹線早朝便へのアクセスを兼ねた,上り急行2本が設定されているが,上記事情を考慮し,準急に格下げ,各停の運転区間を短縮(東青山→神保原間廃止)することで,同時間帯の運転回数を減少させた。


 

 

(2)朝ラッシュ時

 7時台に上り優等列車を1本増発し,混雑の緩和を図った。また,余裕時間を再配分及び見直しすることで,ダイヤに柔軟性を持たせ,遅延の発生を抑制することを図った。


 

(3)昼間時間帯

 神保原での宮ヶ瀬線との接続を変更し,中原本線急行と宮ヶ瀬線高速急行との接続を改善した。これにより,待ち時間を含めた所要時間短縮を図った。

(4)夕ラッシュ時

 複雑な旅客流動,競合各線への対応のため,汎用性を考慮した緩急比1:1のダイヤとなっており,相互直通運転をする都営三田線のダイヤとの調整も考慮すると,結果として,朝ラッシュ時より必要車両数が多くなっていた。他方で,全般的に輸送力が過剰気味であり,昨今の輸送量減少への対応も加味し,輸送力の適正化が必要であった。

 そこで運転体制を見直し,一部の急行を区間急行に変更するとともに,各停の一部を神保原止とすることで,輸送力の調整を行った。これにより,各停の必要車両数の削減が出来,朝ラッシュ時とほぼ同等の必要車両数とすることが出来,車両数の削減が可能になった。

 また,急行の時間帯毎の運転本数を見直し,17時台にて1本減,19時台で1本増とした。
 この他,20時台以降にて都営三田線に直通する優等列車を増発し,ネットワークの拡充を図った。

図表18.夕ラッシュ時〜夜間時間帯 運転本数

 

 

(5)深夜時間帯

 23時台に急行,各停ともに各1本増発し,混雑の緩和を図った。また,24時台の下り急行1本を準急に変更,及び最終急行(品川発24:28発)を区間急行に変更することで輸送力の適正化を図った。
 この他,三ヶ木→中原間の上り最終列車を繰り上げた。


 

 

 

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