■ 概 要
製造初年1988年。
中原急行初のVVVF制御車である。
2000系・3000系の置き換え及び輸送力増強用として中原本線,宮ヶ瀬線の両線に投入され,中原本線用は2両〜8両編成,宮ヶ瀬線には8両編成と10両編成を中心に増備された。2000年までにの13年間で548両が製造された。
2001年より一部の車両で制御装置の更新が始まっている。現在のところ,廃車になった車両はなく,2008年8月1日現在,548両全車が健在である。
■ 主要機器類・車体
7000系で採用された複巻電動機は回生制動が使用可能になるという利点がある一方,従来の直巻電動機に比べ構造が複雑で保守に手間を要するという問題があった。宮ヶ瀬線の沿線開発の進展により,今後も車両数の増備が見込まれており,省保守は極めて重要な問題であった。そこで実用化に目処が立ちつつあったVVVF制御を1986年より実車にて実用実験を行った結果,良好な成果が得られたことから,1988年の新製車から本格採用することにした。
主電動機は三相交流誘導電動機,出力は誘導電動機の高回転特性を活かし170kwに増強された。一方,MT比は誘導電動機の粘着特性から地下鉄直通車両でもMT同数とされた。
主制御装置はGTOを用いたVVVF制御であるが,GTO素子の容量の関係で1C4Mになった。なお,以後の増備はサバイバリティとコストの兼ね合いからこのまま1C4M方式が採用されている。
車体は7000系と同様のアルミ合金車体である。しかし構体構造の見直しにより更なる軽量化が図れている。
台車はおなじみのアルストムリンク式車体直結台車である。
■ マイナーチェンジ
1995年の増備車では保守性の向上,サービスレベルの向上を目指しマイナーチェンジが施された。
主要機器類では,台車が保守性の向上のため,ボルスタレス化・軸箱支持装置が40年に渡り採用されていたアルストムリンク式から簡易な構造のモノリンク式に変更された。
主制御装置はIGBT化された。
サービス面では腰掛に成形シートが採用された他,片持ち化による清掃容易化がなされた。また座席幅が20mm拡大され,450mmとなった。ただしこの影響で車端部の座席数が3人掛となり,着席定員が中間車1両あたり4人減少した。また扉間の座席にはスタンションポールが2本設置され,定員着席の推進と立客への利便性向上を図った。
側扉は乗降性向上及び体格の向上に合わせ幅100mm・高さ50mm拡大され,幅1400mm,高さ1850mmとなった。また側扉上部にはLED式の案内装置を両側交互に1両あたり計4基搭載した。これらは停車駅案内のほか,乗換案内,イベント情報などの各種案内を掲載している。なお,側扉の開閉装置は従来の空気式に変わり電気式に変更された。これに伴い,CPの容量が減少している。
■ 運 用
中原本線,宮ヶ瀬線とも急行から各停まで幅広く用いられており,中原本線では地下鉄直通を含む運用にも投入されている。他系列との併結も行われており,5000系以降の各系列に併結可能である。なお,運用は原則として他系列と共通である。
■ 近年の動向
5000系,7000系の廃車の進行により運用・配属に変更が生じており,2007年には都営新宿線の保安装置を設置のうえ,都営新宿線直通運用の7000系を置き換えた。2008年も直通運用編成への改造が行われたが,今後も継続して実施されるかは定かではない。
また,2001年より電子部品等の劣化により制御装置,付随してソフトウェアが変更された車両があり,今後も継続して更新されていく予定である。同時に制動装置関係も一部変更され,一部の編成は電気停止制動が採用されている。
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