[ Diagram ] ダイヤ(輸送と運転)

TOP ↑

 
 本項では、青山鉄道の各時間帯のダイヤについて、現況とダイヤを著した意図やその背景について記載する。なお、輸送の概要、種別体系については、路線概要の項も併せて参照されたい。
 

03-1.輸送概要

・輸送概要(全体)

  沿線各地から起点の南青山駅に向かう通勤通学輸送が主力であり、断面輸送量で見ると右肩下がりとなっている。しかし、起点の南青山を含む南条市と終点の秋葉を含む青山市とを結ぶ都市間輸送も一定のボリュームがあり、断面輸送量で日吉〜秋葉間で横ばいなことからそれが見て取れる。

・時間帯別の特徴

  時間帯別の輸送量を見ると、上りは8時台が突出して多く、下りは18時台をピークに上りよりはピークがなだらかになっているのが見て取れる。これらから、当線は通勤通学輸送が多いことが見て取れる。
  他方、区間別輸送シェアを見ると、ラッシュ時間帯は沿線各地から隈なく輸送が生じているのに対し、昼間時は全線通しの都市間輸送の旅客が多い。
  このことから、ラッシュ時と昼間時とでは輸送の性質が異なることが見て取れ、ダイヤ作成にあたって、この点に留意しなければならない。

 

03-2.朝ラッシュ時

・概要、運転本数

  7分0秒サイクルに通勤快速と普通が1本ずつ運転されており、全列車が4両編成で1時間あたり17本が運転され、乗車率は133%である(今井→森下)。
  地上設備的には1時間あたり3本程度の増発が可能だが、混雑状況が改善されつつあること、今後の輸送量が減少する見込みであること、設備上の余裕を速達性や遅延時の回復力の確保に振り向けること等により、現状の運転本数に留めている。

  この時間帯は沿線各地から南青山地区に向かう通勤通学輸送が主体であり、これをいかに効率的に輸送するかが課題となる。詳細は後述するが、遠近分離と2種類の種別を用いた緩急比1:1の単純なダイヤを用い、これに対応している。

・ダイヤ構成について

  起点の南青山駅が2線であり、列車の種類が2の倍数である方が運転管理の面で適している。
  また、全長24.6km、駅数20駅の郊外路線タイプの当線では、複雑なダイヤを構築する必要性が低い。よって、種別が2種類で緩急比1:1の単純なダイヤを構築することとした。

・種別間の混雑の平準化

  運転密度が高い場合、南里での優等列車の追い越しが必須であるが、既存の快速の停車駅のまま運転すると南里以西の利用者(利用者の88%)が快速に集中してしまう。そのため、南里と城戸を通過する通勤快速を設定した。
  ただ、これだけでは普通の方が乗車率が高くなってしまうため、ラッシュ時に利用者が増える乃木に停車させることで種別間の混雑の平準化を図った。
  この結果、桐島以西は通勤快速、泉川以東は普通と遠近分離させることとし、また、緩急接続ではなく通過追越を用いることで退避に要する時間を削減したことも併せ、列車群全体の速達性の向上を図った。

・始発駅の設定

  秋葉駅と桜町駅からの乗車は、乗車時間が長いため全員着席が望ましい。そのため、通勤快速は全列車とも秋葉始発とした。これにより通勤快速の桜町駅出発時点の着席率は93%となっている。
  一方、普通は主に泉川以東の利用を見込んでおり、日吉以西は利用者が多くないこともあり、全列車を秋葉始発にする必要はなかった。
  また、秋葉駅の線路容量が、交差支障が多いため3線のわりに余裕に乏しく、全列車を秋葉始発に出来る状況ではなかったため、普通の半数を日吉始発とした。
  ところが、柳瀬、大倉の両駅が周辺開発により乗降客数が増加すると、梶浦〜日吉間の普通に混雑が見られるようになると共に、秋葉発の普通が接続する通勤快速が混雑するようになり、遅延が生じるようになった。
  そのため、ピーク時の日吉始発の普通を梶浦始発に変更することで、利用者を分散させた。 
  これにより、混雑の平準化とそれに伴う遅延の減少を図った。

・停車時分、余裕時分の追加

  輸送量が標準時に比べ多いため、南青山寄りを中心とした駅では標準時より停車時分を追加している。また、運転本数も多いため、余裕時分も各所で追加している。
  そのため、上り列車では標準時に比べ通勤快速が1分40秒、快速が2分00秒、普通が1分10秒多くなっているほか、一部列車では、起点、終点、退避駅前後を中心に更に個別に追加している箇所がある。
  また、逆方向となる下り列車でも、上り列車が生じた遅延を吸収し遅延を拡大させないことを主目的に余裕時間を追加している。



  

 

03-3.昼間時

・概要

  15分サイクルに快速、普通各1本が運転されている。着席率は、快速が100〜130%程度、普通が40〜50%程度である。
  この時間帯は、両端を結ぶ都市間輸送の比率が40〜45%と高いが、一方で南青山地区とその郊外(南里〜新居)を結ぶ輸送も45〜55%あり、その両立が課題となる。
  それに加え、1時間あたりの断面輸送量は1,200〜1,500人程度であり、運転本数は6〜10本程度で十分である。そのため、都市間輸送を主目的とした急行を運転すると中間駅における利便性が低下し、特にこの地域は道路整備が進捗していることもあり、他の交通機関に対し競争力が低下してしまう。
  そこで、優等列車は快速とすることで、都市間輸送と主要駅に対する速達性を保持し、これを普通と1:1で運転し、かつ、南青山〜日吉間の快速停車駅では快速と普通の運転間隔を乗車・降車とも極力平準化することで実質的な乗車チャンスを拡大、フリークエンシーサービスの提供を図った。

 



 


 ※昼間時輸送力検討用

 

03-4.夕ラッシュ時

・概要

  10分サイクルに通勤快速、普通各1本が運転されており、乗車率は概ね80〜100%である。
  朝ラッシュ時と同様、混雑の緩和、列車毎の混雑の平準化、運転管理の容易さ、遅延回復力の保持、速達性の維持に留意しており、優等列車は通勤快速に変更したうえで緩急比1:1の単純なダイヤとしている。
  なお、普通は1/3が日吉折返し又は梶浦止まりでそのまま新居車両区に入庫する。これは日吉以遠の普通の乗車率が低いこと、秋葉駅の線路容量の不足及びそれに伴う遅延回復力の低下への対応、運用数と労働時間の削減を企図したものである。
  このほか、朝ラッシュ時同様、上下列車とも停車時分・余裕時分を追加しており、下り列車では、1分00秒〜1分40秒が標準として追加されている。





 

03-5.休日ダイヤ

・概要

  終日、平日昼間時と同様に15分サイクルに快速、普通各1本が運転されている。買物、行楽を目的とした沿線各地から南青山地区に向かう輸送が午前中の上りと夕方の下りに見られ、この時間帯は多少混雑するが、概ね乗車率100%以内に収まっており、特段増発が必要な規模ではない。
  しかしながら、乗降時間の増大が見られるため、同時間帯は標準時に対し、各列車とも50秒〜1分00秒停車時分を追加している。また、その影響で午前中の南青山駅における交差支障に対し、遅延時の回復に対する余裕をより確保するため、通常だと快速到着→折返し普通出発は1番線、普通到着→折返し快速出発が2番線なのが、休日ダイヤの午前中は逆になっている。

 

 

TOP ↑