06.ダイヤ
05-3.朝ラッシュ時(平日)
(1−1)江珂口概要
江珂口は、1時間あたり21本の運転であり,混雑率は137%である(優等列車136%,各停138%)。ピーク時は11分サイクルに準急1本,各停3本となる。なお,各停を増発するため,江珂着7:29〜9:55までの優等列車は清滝〜江珂間を9両編成に増結して運転される。この時間帯の各停は6両編成で運転され,江珂側3両は4扉車が連結される。
この時間帯は、ラッシュ時に集中する旅客を限られた輸送力でいかに効率的に輸送するかが最も重要な留意点となる。その為に以下の各項の内容を実施している。詳細は各項にて後述する。
(1−2)増発と増結
輸送力増強の基本は増発と増結である。そのため、各停は最小3分間隔、1時間あたり15本、優等列車(準急)は9〜11分間隔、1時間あたり6本を運転している。設備的には更に1時間あたり3本程度は増発できるが、混雑率の状況、速度低下、収益等のバランスを考慮し、現行の運転本数に留めている。
また、増結はホーム有効長の延伸に多額の費用と工期がかかることから、線路容量に余裕がなくなってから実施する方針であった。結果として、郊外の住宅開発により優等列車が混雑するようになったことへの対応として、再開発により用地が確保できた江珂駅1・2番線、友坂駅、用地に余裕のあった上野沢信号所、清滝駅のみ有効長を延伸し、9両編成に対応することとした。
線路容量に余裕がある中で増結を選択したのは、ホーム延伸用の用地が確保できたこと、優等列車で著しく輸送力増強が必要な区間が清滝〜江珂間に限られ、全線にわたる増発が不要であったこと、当時は新野〜江珂間の住宅開発の進展に伴う輸送量の増加が見られ、各停の増発が早晩必要となり、結果、線路容量が不足する懸念があったこと、以上の複合的な要因による。
(1−3)混雑の平準化と時隔調整
朝ラッシュ時のダイヤ作成にあたっては、列車間の混雑の平準化を強く意識し、そのために時隔管理に特に留意してダイヤを作成している。これは時隔が不揃いだと、時隔の開いた後の列車に利用者が集中し、乗降に時間を要する、即ち所要時間の増大・更なる遅延・時隔の更なる拡大につながるからである。
しかしながら、新野〜江珂間では、準急退避の為どうしても各停の運転間隔が不揃いになってしまう。このため、一部列車の一部の駅(大戸、友坂、神埼)で10〜40秒停車時間を長くすることで時隔調整を実施している。当該列車の所要時間は一見延びるように見えるが、列車群で見るとこの方が所要時間が短くなり、遅延も生じにくくなる。
(1−4)編成内・車両内の混雑状況及び乗降時間の平準化(多扉車の導入)
江珂駅はホーム先端に利用者が集中する中央改札口があり、必然的に列車の江珂側の車両が混雑しやすい。これは駅での乗降に際し江珂側の車両の乗降時間が掛かることを意味する。
駅の停車時間は、最も乗降時間が長いドアの乗降時間に依存する。そのため、乗降時間を短縮するためには、ドア1箇所あたりの乗降人数を減少させるか取扱い容量の増大が有効であり、即ちドアの増設又は扉幅の拡大が望ましい。
他方、ドアとドアの間隔が広いと、ドア付近に利用者が固まり混雑する一方、ドアとドアの中央部付近が空いてしまい車内の利用効率が悪化するほか、ドアへのアクセスに時間を要し停車時間増大の一因にもなる。。
そこで、江珂鉄道では多扉車を導入することとした。従前が3扉であるため、旅客案内上は5扉の方がスムースであり、車内混雑も均等化しやすい。一方で、冬季の保温性の悪化、ドア凍結のリスク増大、座席数の減少等の懸念があった。結果、折衷として4扉車を導入することとし、旅客案内上の問題に対しては、ラッシュ時の江珂側の3両を全て4扉車に統一することで対応した。これが1985年から新製した4000系である。現在は、後継の4400系への置き換えが始まっているが、やはり4扉車による置き換えである。
4扉車の投入により、扉あたりの乗降人数が減少したこと、車両内部における混雑状況が平準化されたこと等により、列車の停車時間の短縮、しいては所要時間と最小運転時隔の短縮が実現し、増発やダイヤの柔軟性の確保が可能になった。
(1−5)系統分離による車両数の抑制
江珂駅発着の各停は6両編成が必要だが、新野以南の郊外は3両編成で十分である。6両編成のまま、郊外の遠くまで運転すると必要となる車両数が増加してしまう。
そこで、朝ラッシュ時の各停は原則として清滝で系統分割することで必要な車両数を抑えた。これは、上記の4扉車の必要数の削減にも有効で、車両製作費の効率化にも有効である。
(2)一ツ葉口概要
一ツ葉口は,1時間あたり10本の運転であり,混雑率は93%である(優等列車97%,各停88%)。ピーク時は10分サイクルに準急1本,各停1本となる。各停は6両編成に増結される一方,輸送力に余裕のある優等列車は近距離輸送を補強するため葉月と佐倉に特別停車する。この処置により、車両・乗務員を増備せずに輸送力の増強を果たしている。
(上り)
(下り)
(つづく)
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