[ Train ] 車両

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【車両概要】

 小牧東方鉄道は220km超の路線であるが、地区により輸送動向や地形が大きく異なり、求められる車両性能も異なる。

 西地区(小牧〜明日香間:42.3km)は、小牧市に向けた通勤通学輸送が多いため、大量輸送や混雑に対応する車両が必要であるほか、普通は平均乗車距離が短いため、乗降性能も重要である。直線区間が比較的短いため高速性能はさほど求められず、運転本数が多く駅間が短めであることから加速性能が重視される。

 中地区(明日香〜葉山間:79.7km)は、小牧連峰北麓を超えるため急勾配が連続しており、高出力な主電動機や抑速制動が必要であるほか、平均乗車距離が長いため居住性や座席数も重要である。直線区間は短く曲線や勾配が多いため、高速性能はさほど求められず加速性能の方が重視される。

 東地区(葉山〜麻弓間:96.1km)は、概ね平坦地であるため経済的な編成であることが求められているほか、急行は平均乗車距離が長いため居住性や座席数も重視される。直線区間が多く駅間が長いため、高速性能が重視される。

 特急用車両では、スピードアップのためには、西地区・中地区では曲線通過性能の向上、東地区では高速性能の向上が必要であり、伝統的に重心が低い高出力編成としていたが、高速道路延伸やJR化後の輸送改善に対応するために更なる速度向上が求められた結果、IC-4系以降は車体傾斜装置を採用し曲線通過速度を向上させている。

 一般用車両では、各地区の異なる輸送需要や車両性能の要求に対応するため、勾配対応・非対応、加速性能重視・高速性能重視、セミクロスシート・ロングシート、2扉・3扉・4扉のように、要求に応じた異なる仕様の車両が投入されていたが、技術の向上により徐々に共通化が進み、5000系以降は全地区共通で同一形式が投入されており、現在は勾配対応の4扉ロングシート車に統一されている。

 2025年7月現在、特急用車両が3系列156両、一般用車両が3系列561両、合計717両の車両を保有している。

 


【特急用車両】


・IC-5系

  製造初年2007年。
 車体傾斜装置を搭載しているIC-4系と搭載していないIC-2系・IC-3系では性能差が大きく、運転間隔のバラつきや旅客の偏りといった諸問題が生じていたため、IC-2系・IC-3系の置換のため投入されたのは本系列である。
 IC-4系をベースに設計されており、引き続き制御付き自然振り子式車体傾斜装置を採用している。車体は軽量化、静粛性、造形の自由度等を考慮し、アルミニウム合金製のダブルスキン鋼体が採用された。また、高速性能向上のため主電動機が強化されている。
 2007年から2013年にかけて6連13本が製造され、IC-2系とIC-3系を置き換え、東方特急(本線系統)は全車車体傾斜装置を搭載した車両となった。2024年から内装及び制御装置更新等のリニューアルが開始されており、今後も小牧東方鉄道のイメージリーダーとして活躍が続いていく見込みである。

  IC-5系


・IC-4系

  製造初年1995年。
 競合となるJR線がスピードアップにより競争力を増してきており、小牧〜絢瀬湾岸各都市間のシェアが減少してきていた。また、高速道路の延伸により交通モード間での競争も激化していた。
 競争力を向上させるためにスピードアップを検討することになったが、最高速度向上によるスピードアップはIC-3系で実現しており、これ以上のスピードアップのためには曲線通過速度の向上が必要であった。そのため、当時採用が増加していた車体傾斜装置を採用し、曲線通過速度を向上、高速性能の改善と合わせ、小牧〜麻弓間で17分の短縮、同区間は2時間29分で結ばれることになった。
 新技術の導入となったため、1次車1本による走行試験に2年を費やした後、2次車として1997年に4本が製造され、1997年12月に営業運転が開始された。当初は概ね2時間毎に8往復が運転され、スピードアップによりシェア・輸送量ともに増加に転じたほか、東方特急内でも本系列に旅客が集中した結果、3次車2本及び4次車3本が追加で増備され、2000年3月のダイヤ改正で16往復に倍増した。なお、本系列の新製に伴い、初代東方特急であるIC-1系が引退した。
 2013年から順次リニューアルが実施されたが、1次車は既に車齢30年を経過しており、後継車両の検討が開始されているが、まだしばらくは第一線で運用される見込みである。

  IC-4系


・IC-3系

  製造初年1987年。
 国鉄の分割民営化を見据え、特急列車の競争力向上のため、車内設備の向上、速達性の向上を主眼に、フルモデルチェンジされたのが本形式である。
 車内設備について、座席はシートピッチこそ970mmと変更されなかったが、背もたれを50mm拡大し頭部の安定を図ったほか、バケットタイプとして着座姿勢の安定を図った。側窓を100mm拡大し眺望を向上させた。
 車体は先頭部を除き軽量ステンレス鋼体を採用し、軽量化と低重心化を図った。主電動機は出力は従前と同様に135kWであるが、高速性能を向上させた。これらにより、走行性能を向上させ、最高速度も130kmに向上させた。
 新製後は最速達列車に投入され、小牧東方鉄道のイメージリーダーとして華々しい活躍をしていたが、後継のIC-4系が登場すると圧倒的な性能差から急速に陳腐化し徐々に運用範囲が縮小し、IC-5系の登場により製造から22年で2本は廃車となり、残った3本はリニューアルのうえ高原支線運用に転用された。2020年代前半に後継車両の製造が計画されていたが、新型コロナの影響による輸送需要減少・業績悪化により延期され、製造から37年が経過した現在も活躍が続いており、歴代の東方特急の中でも最も長期に渡り活躍している系列である。

    IC-3系

 


【一般用車両】


・7000系

 製造初年2018年。
 主制御装置にSiC素子を採用、主電動機の強化、客室内照明のLED化、新たな車両情報管理システムの採用等による省エネルギー、保守性の向上を図った。
 電気ブレーキは安定的な制動能力の確保及び運用の汎用性確保のため、全編成とも回生・発電併用とした。
 2025年7月現在で138両が製造されており、西・中地区急行系統、東地区急行を中心に運用されている。今後も5000系の置き換えのため増備が予定されており、運用範囲も拡大する予定である。

7000系


・6000系

 製造初年2000年。
 主電動機に小型堅牢な交流電動機を採用、制御装置はVVVF制御となった。また、制御単位を1C2Mとすることで冗長性を確保した。台車は構造が簡略化された軸梁式ボルスタレス台車を採用し、保守性の向上を図った。
 接客面では座席幅を10mm拡大し460mmとしたほか、側扉上部にLED式案内装置(途中から液晶ディスプレイ式に変更)が設置された。
 19年間にわたり合計338両が製造され、小牧東方鉄道の最大勢力となっており、西・中地区急行系統・普通、東地区普通を中心に幅広く運用されている。

6000系

 


・5000系

  製造初年1987年。
 軽量ステンレス車体、ボルスタレス台車を採用し、軽量化と省保守化を図った。また、主電動機を保守性の良い直巻電動機に戻す一方、制御方式に界磁添加励磁制御を採用することで回生ブレーキが利用できるようにした。
 側扉は、西地区各停以外は座席数確保のため3扉であったが、西地区急行系統の混雑への対応、汎用性確保のため、前年まで増備された3000系に続き、両開き4扉とした。座席配置についても、同様の理由でロングシートとした。
 226両が製造され、西・中地区急行系統、東地区急行・普通と幅広く運用されている。
 2019年から7000系による置き換えが開始されており、2029年頃には完全に置き換わる見込みである。

5000系


【車両諸元表】

 

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