[ Line ] 路線

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【路線概要】

 路線長    東方本線 218.1km(全線複線)
          高原支線 9.4km(一部単線)
 駅 数     69駅
 平均駅間距離 3.3km
 電化方式   直流1,500V
 車両規格   車体長18,500mm 車体幅2,860mm以内
 最高速度   130km(葉山〜麻弓間)
 標高最高地点 東方本線 667m(千丈沢〜青柳間)
        高原本線 704m(高原〜天上沢間)
 最急勾配   33.3パーミル

 小牧東方鉄道は、小牧湾岸にある小牧都市圏から東に進み、明日香盆地、姫木連峰北麓、絢瀬湾岸の各都市とを結ぶ約220kmの路線である。
 路線が長く、区間毎に輸送や地形上の特徴が異なるため、西地区・中地区・東地区の3地区に大別される。
 
  西地区(小牧〜明日香間:42.3km)は、小牧市に向けた通勤通学輸送や小牧〜明日香間の都市間輸送が盛んであり、小牧東方鉄道全体のうち約64%の輸送量を擁する。そのため、最長10両編成の列車が投入されている。
 小牧駅から10km余りの平野部を除くと全体的に山がちで、佐野坂トンネル(最高地点154m)の前後では急勾配急曲線が連続する。

  中地区(明日香〜葉山間:79.7km、羽丘〜天上沢間:9.4km)は、姫木連峰北麓(最高地点667m)を超えるため、最急勾配33パーミル、最小半径300mをはじめ、ほぼ全区間で急勾配急曲線が連続する。そのため、M比が高く、抑速・発電ブレーキを装備した車両が投入されている。
 最高地点に最も近い千丈沢駅付近が旅客流動の最も少ない区間であり、同駅を境に西側は小牧や明日香に向かう流れが強く、東側は葉山や立花に向かう流れが強い。休日は西地区沿線から羽丘・高原・天上沢といった姫木連峰北麓への行楽輸送が加わる。
 地区内では沿線の過疎化が急速に進んでおり、2020年から2050年にかけて沿線人口が4割以上減少する予測が出ており、今後の輸送状況は大変厳しい状況が見込まれている。

  東地区(葉山〜麻弓間:96.1km)は、絢瀬湾岸の平野部にある複数の中規模都市(葉山市、松井市、橘市、三上市、麻弓市)を結ぶ都市間輸送が主体である。これらの都市の中では、橘市が最も規模が大きく集中がみられるため、立花駅に向けて両側から輸送量が増えていく構図であるが、各都市間を結ぶ流れや、工業都市である三上市、港湾都市である麻弓市に向かう流れも大きいため、旅客流動が複雑かつ双方的である。また、地区内では東側の方が沿線人口が多く、輸送量も大きい。
 西地区・中地区とは異なり、ほぼ全線が平坦区間であるため、車両に求める性能が両地区と異なり、過去はM比の少ない車両が投入されていた。

 


(クリックで拡大地図)
 

 

 

 


【沿線風景】

・西地区(小牧(東)〜明日香)

 小牧市中心部には、当線の【東駅】のほかに、JR線の【西駅】、北東鉄道の【北東駅】、北方鉄道の【北駅】の4つのターミナル駅がある。市中心部に東駅と北東駅が隣接しており、市中心部北端に西駅と北駅が隣接しており、大きく見ると2箇所にターミナルがある。
 当線の起点となる【小牧(東駅)】は、当線で最も乗降客が多く、4面7線を擁している。ターミナルビルが併設されており、上り方は地下駅のような印象である。頭端式であるため上り方の車両が混むが、ホーム中央部に地下街に直通する改札があり、上り方車両に極端に旅客が集中するわけではない。

 【小牧(東駅)】を出発すると高架に上がり、【御池通】までは雑居ビル、マンション、低層住宅が混在する地区となる。なお、【小町】と【折橋】の駅周辺には大規模な団地があり、いずれも現在再開発が進んでいる。

 JR線と接続する【御池通】は交通結節点として当線で2番目に乗降客が多く、特急以外の全列車が停車する。乗降客数の割に構内が狭小であるため、現在重層化工事中である。
 御池通を出ると沿線は低層住宅が主体となり、【西崎】までが古くからの住宅地である。以前は普通が当駅で折り返していた(現在は概ね雨宮折返し)。下り方に主に普通車用車両が所属する車両基地があり、運転上の拠点でもある。

 【西崎】を出ると佐野坂峠に向けて20パーミル前後の勾配で薄川の北側の丘陵に取りつく。この丘陵地帯に小牧市に通勤する旅客向けの良好な住宅を供給すべく雨宮ニュータウンが造成され、【藤野】【雨宮】が設置された。その後、雨宮はニュータウンの中心駅として利用者が増加したため、1988年に急行停車駅に昇格した。

 雨宮を出ると、住宅がほとんど見られなくなり、丘陵地帯を進む。途中、【小金】周辺では小金沢ダムの建設に伴い線路が付け替えられた。ダム湖沿いに高度を上げ佐野坂峠をトンネル(最高地点:154m)で超え、丘陵にへばりつきながら下ると【東佐野】に到着する。

 東佐野市の中心部は当線の【東山】【東佐野】とJR線の【佐野大門】の中間にあり、中心部から駅へのアクセスに難があったため、中心部から最も近い場所に東佐野市からの請願駅として1980年に【佐野坂】が設置された。急行停車駅となった1988年以降は小牧方面への利用者が増加したが、市街地から標高差があるため比較的平坦な東佐野を引き続き利用する旅客も多く、結果的には4駅に利用者が分散することになった。東佐野では明日香方面への区間列車がほぼ終日運転されており、上り方に折返し線が設けられている。

 明日香盆地に入ると駅周辺以外は農地が多く見えてくる。この辺りの旅客流動について、佐野坂以西は小牧に向かう流れが非常に大きいが、東佐野以東は明日香に向かう流れが徐々に大きくなっていく。
 【庄内】は1988年に新設された駅で、御池通と明日香両駅の高架化による影響及び車両数増加への対応として両駅にあった車両基地が当駅隣接地に移設された。

 明日香市の中心駅である【明日香】は当線で4番目に乗降客が多く、特急列車を含む全列車が停車する。小牧〜明日香間の都市間輸送、明日香盆地内や姫木高原西部(羽丘市・高原市)から当駅に向かう地域輸送が多く、旅客の半数が入れ替わる。


・中地区(明日香〜葉山)

 明日香を出ると姫木連峰北麓に向けた上り勾配が始まる。【水汲】までは明日香市の郊外で乗降客が多いため、ラッシュ時主体に水汲発着の列車が設定されている。【一之瀬】を過ぎると本格的な山岳区間となり、特に一之瀬〜加原間は最大33パーミル、最急半径300mの急勾配急曲線が続く。【御影】まで上がると高原上の台地に出るので幾分勾配・曲線とも緩和されるが、まだまだ上り勾配が連続する。

 【羽丘】は高原支線が分岐するとともに車両基地がある。休日は姫木連峰北麓への観光輸送が盛んで賑わっている。なお、姫木連峰北麓の中心都市は長らく高原市であったが、近年は交通結節点である羽丘市の方が優勢となっている。しかし、この地域は全体的に過疎化が進んでいる。

 【千丈沢】の先にある本線最高地点(667m)を過ぎると今度は葉山に向けて25パーミル前後の下り勾配と半径400mの急曲線が続く。

 【明和】の手前で山岳地帯を抜けると間もなく【葉山】に到着する。葉山市は絢瀬湾岸西部の中心都市であるが、当市を含む周辺の過疎化が進んでいることや、一色湾の水深が浅く葉山港の拡張が困難であることから、勢いに陰りが見える。


・東地区(葉山〜麻弓)

 姫木市以東は絢瀬湾岸都市圏となることや、葉山以西が山岳区間であるのに対し葉山以東は平坦区間であることもあり、都市間輸送を担う特急列車を除き、葉山で運行体系がほぼ分断されている。

 温泉観光地でもある【四方】を出ると東区間で唯一の山岳区間である矢吹峠超えとなるが、葉山以西の山岳区間に比べれば小規模であるため、特別な装備は必要ない。

 楓川を渡り【沖田】を過ぎると橘市の市街地に入り、やがて東地区の中心駅である【立花】に到着する。以前に比べて橘市への集中が進んでいることもあり、当線で3番目に乗降客が多い。当駅で特急列車と急行・普通列車の接続を行うことが多いため、長時間停車が多々見られる。

 白川放水路を渡ると中島町内は当線沿線では珍しい一面の水田地帯となる。

 【古郡】を過ぎると三上工業地帯に入る。沿線は工場が密集し、工場に通勤する旅客や出張の旅客が多い。

 【純夏】は鉱物資源の積出港として栄えたが、鉱山の大幅な縮小による取扱貨物の減少や港湾施設の麻弓港への集約化に伴い、街が寂れてしまっている。

 純夏を過ぎると一気に沿線人口が少なくなり、駅間も長くなる。やがて麻弓港が見えてくると、港湾都市麻弓市の中心部にある【麻弓】に到着する。終着駅であるが、全列車がこの先にある留置設備(旧東麻弓検車区)で折り返すので、中間駅の構造となっている。

 麻弓市は後背に山が迫っているので少ない海岸沿いの平野部や山麓部に人口が集中している。また、近年、観光産業の発展、教育施設・研究施設の増加、業務地区の拡大が続いており、若年中心に人口が増加傾向にある。


【配線図】

 高原支線の高原〜天上沢間を除き全線複線。
 小牧(東)〜明日香間の快速停車駅と車両基地のある庄内駅は10両編成に対応、小牧〜一之瀬間の各駅は8両編成に対応(小町、北野、一之瀬は線路自体は10両編成に対応)、羽丘〜葉山間の急行通過駅は4両編成に対応、左記以外は6両編成に対応している。

 【小牧(東)】は敷地の都合により、1〜5番線が地上ホーム、6〜7番線が高架ホームとなっており、重層化されている。原則として、1〜3番線が特急用、4〜5番線が急行・快速用、6〜7番線が普通用となっているが、上り列車の到着ホームで数本例外がある。また、地上ホームと高架ホームでは交差支障がないので、結果として重層化構造が線路容量の増大に寄与している。

 【御池通】は元々地上ホームで2面4線だったがホーム幅が狭くホーム上混雑に対応できなくなったため、1面2線に改築された。現在は重層化工事中で、3階の下りホームが部分的に供用開始しており、将来的には2面4線化される予定である。

 【明日香】は高架化されており、両方向への多数の折返しや増結解放に対応するため、折返し線が多数設置されている。また、以前は下り方に明日香検車区が設置されていたが、高架化の際に庄内に移転された。

 【羽丘】は下り方で本線が分岐側となっているため速度制限がかかっている。これは元々地域の中心都市である高原経由で葉山方面に建設される計画であったが、距離が短く建設費が安くなる羽丘での分岐に計画変更されたことに由来する。
 5番線は高原支線方面のみの発着が可能な配線であり、以前は高原支線の区間列車の発着に利用されていたが、本線との直通運転が主流となったことから、現在は車両基地の入替線としての利用の方が多くなっている。

 【葉山】は都市間輸送を担う特急列車を除き、運行体系がほぼ分断されており、一般的な2面4線ながら、下り方に折返し線が2線、上り方に車両基地への引き込み線が設置されており、当駅到着・出発の列車が多数発着する。JR線とは離れた場所に駅がある当線には珍しく、設置当初から国鉄線の隣地に設置されている。

 【立花】は東地区で最も乗降客数が多い駅でありながら、隣接するJR線との統合駅化・高架化の際に一般的な2面4線に改修されており、両側には折返し線が設置されている。当駅では特急列車と急行列車との接続が頻繁に行われている。

 【麻弓】は終着駅であるが中間駅構造となっている。これは全列車が駅の東側にある留置線に入線し整備されるためである。なお、この留置線は以前は麻弓検車区の一部であったが、検車設備は車両数の増大に対応するため有高に移転した。

配線図

 

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