Impression  [雫石]

  ↑TOP

雫 石   ★★★★  http://www.princehotels.co.jp/ski/shizukuishi/  中級者向(初心者〜上級者向き)

特大クルージングコース付きスキー場

全長5kmもあるメンズダウンヒルを中心に細かいコースが続くゲレンデ。でもリフトと運営が×。

<GOOD>

5kmの長距離クルージングが楽しめる
しかもゴンドラに1回乗るだけで5kmのクルージングできる
プリンスゲレンデは侮れない
初心者から上級者まで,中級者を主体としながらもあらゆる層の相手ができる斜面
総じて斜面の資質は非常に高い

<BAD>

ゴンドラが風に弱い
閑散日(でなくとも)はクローズされているコース・リフトが多い
ロープウェイ上部が非常に不便(繰り返し滑れない&非圧雪エリアが大きすぎ)
繰り返し練習するためのリフト・コースの不足
総じて運営が下手なんじゃない?

<コース概要>

ゲレンデは大きく3つのエリアに分けられます。

・ホテル前ゲレンデ
ロープウェイ下のプリンスホテル前に広がるのがホテル前ゲレンデです。幅の広い一枚バーン+一定な斜度を持つ中斜面で,距離はないものの滑走感は高く,なかなか侮れないゲレンデです。ただ,通常はプリンスロマンスの1本しか運転されていないのと,絶対的な距離の不足は如何ともし難いですが,繰り返し(練習の為に)滑るのなら最適なゲレンデで,しかも素直な中斜面であるため,どのレベルの滑走者でも楽しめるでしょう。

プリンスゲレンデよりプリンスホテルの望む。後方は岩手高原スキー場。 プリンスゲレンデ。斜度が一定の快適な中斜面です。

・ロープウェイ上部エリア
ロープウェイ上のエリア(ダウンヒルコースは除く)で,このエリアだけで中規模のスキー場が1つ入るくらいの大きさがあります。ロープウェイ山頂駅付近は斜度がない整備された林間コースになっており,初級ロマンスリフト・ダウンヒル第1リフトを繰り返し使うことで初心者スキーヤーの練習に最適です。ただ斜度がなさ過ぎるのでボーダーや初級者以上のスキーヤーには不満が残るかもしれませんが,それなら連絡ロマンスリフト(か山麓部のプリンスゲレンデ)を滑ると良いでしょう。連絡コースと表示されているので幅の狭い通路を思い浮かべるかもしれませんが,実は初級者〜初中級者が練習のために繰り返し滑るのに最適なゲレンデ(一定の斜度を持つ中斜面)で,しかもあまり人が入り込まないことから安心して練習することができます。

一方,こののエリアの上部は斜度のちょうど良いゲレンデですが,非圧雪ゾーンとなっておりレベルの高い上級者&ボーダー以外は滑ることができません(スキーの場合)。全てのエリアで非圧雪をされるとせっかく資質の高いゲレンデも宝の持ち腐れに思えます。これでは(スキーの場合)入り込める人が制限されてしまうので,是非1コース程度は圧雪して欲しいものです。ただ,仮にこのエリアはオープンしてもダウンヒル第2リフト・クリスタルリフトが運行廃止されており,残ったサンシャインリフトも低速シングルなので利用価値は少ないです。非常に資質の高い斜面を有しているだけにこれを有効に活用して欲しいものです。

初級ロマンスリフト沿い。 非圧雪ゾーンになったロープウェイ上部をゴンドラより望む。

・ダウンヒルエリア
メンズ・レディースダウンヒル両コースともゴンドラを使って4〜5kmの長距離クルージングを楽しむことができる,本邦でも非常にレベルの高いクルージングコースです。しかし,レディースダウンヒルコースは繁茂日以外はコース整備がされず(圧雪されない),その上クローズされていることが多いです。一方のメンズダウンヒルは第1ゴンドラを使って5kmほどのロングクルージングが楽しめます。

メンズダウンヒルは上部が急斜面,中央部が緩斜面,下部が急斜面であり,一貫して中斜面が連続しているわけではありません。よって5kmという割には思ったほど連続した滑走感がありませんが,それでも上部から下部までノンストップで滑れば,例えゆったりと滑っていたとしても足がパンパンになることは確実です。ちなみに私の場合,ノンストップでハイスピードクルージングをしましたがどんなに頑張っても10分をきれませんでした。(おまけに3本滑ったところでダウンしました(^^; )通常で12〜15分程かかり,恐らく普通に滑ってれば30分くらいはかかるでしょう。それほどに長いコースです。

斜面は全体的に幅が狭くなっており,特に上部はラインが一つで急斜面なので昼過ぎには荒れて来ます。ただそれほど癖があるコースではないので中級以上なら問題なく滑れるでしょう。初級者の場合はボーゲンができればなんとかなりますが,所々に急斜面があるので厳しいでしょう。
中央部はなだらかな斜面。下部の急斜面に向けて一息つく場所で,ここで頑張ると下部がつらくなります(実話)。
下部はラインが4本あり,ゲレンデに向かって右から上級・上級・中級・中級となっています。どのコースもコース幅が狭く,かつ急斜面ですが,上部に比べラインが複数あるのでそれほど斜面が荒れることはありません。

もう一方のレディースダウンヒルは……クローズされていたので滑れませんでした。スキーマップルによるとメンズダウンヒルより難しいとのことなので今度いったら絶対に滑ってみたいです。ということは休日に行けばよいのかな?

メンズダウンヒル中央部より上部を望む。 メンズダウンヒル中央部。後方は同上部。

メンズダウンヒル上部。午後は斜面がやや荒れてきました。 メンズダウンヒル上部。

メンズダウンヒル下部の弁慶コース。左は高速クワッド。 メンズダウンヒル下部より岩手山方面を望む。

第1ゴンドラ降り場の看板。 第1ゴンドラ降り場よりさらに上部を望む。でも閉鎖されています。

 

<リフト>

ゴンドラ2本,ロープウェイ1本,高速クワッドフード付き1本,ペアリフト6本,シングルリフト2本です。

エリア毎に見ると

プリンスゲレンデにはペアリフトが3本かかっています。このうち1本(プリンスロマンス)はナイターでも使用されます。が,残りの2本はあまり動かないようです。実態はおそらくリフト1本(プリンスロマンス)のみといったところでしょう。

ロープウェイ上部のエリアにはペアリフト2本(初級ロマンス,連絡ロマンス),シングル2本(ダウンヒル第1,サンシャイン)が動いてます。このうち初級ロマンスとダウンヒル第1は初心者用のリフトです。サンシャインリフトは上級者専用と考えて良いでしょう。連絡ロマンスは名前通りのほかに初級〜中級者の練習にちょうど良いリフトです。

ダウンヒルエリアにはゴンドラ2本,高速クワッド1本がかかっています。しかし高速クワッドは第1ゴンドラ(メンズ側)が止まったとき,もしくは繁茂日以外は運休します。よって実際には各ダウンヒルコースにゴンドラが1本ずつかかっていると考えてください。が,このゴンドラですが,とてつもなく風に弱い構造をしています。ゴンドラのかかっているところが風の通り道だそうで,おまけに最上部は尾根の一番上に堂々とかかっています(↓の写真参照)。これではゴンドラが止まりやすいのもうなずけます。そんなわけでもし仮にもゴンドラが止まったら雫石の魅力は半減してしまうでしょう。自然には勝てませんが,コクド,もっと構造考えて架設しなさいよ!

4.プリンスゲレンデとロープウェイ上部を結ぶためにロープウェイ1本とペアリフトが1本架設されています。このうちペアリフトはロープウェイが止まったときだけ(多分繁茂日も)運転されます。

第1ゴンドラ終点付近。完全に尾根の上です。これじゃ風でゴンドラが止まりやすいのも頷けます。  連絡リフト上部付近。

 

<エリア間連絡>

プリンスゲレンデとロープウェイ上部を結ぶためロープウェイが架設されており,上下とも利用可能です。ロープウェイ上部からプリンスゲレンデに下りるには下山コースと熊落としコースがあります,下山コースはクローズされていることが多く,熊落としコースは非圧雪の上級コースなので初・中級者は素直にロープウェイで降りるのが無難でしょう。でも熊落としは圧雪されていれば中級以上なら全然問題ありません。

プリンスホテル前からゴンドラ乗り場に向かうには1.シャトルバスを利用する,2.ロープウェイ→初級ロマンスリフト→連絡コース→メンズダウンヒル下部に抜けるコース,3.ロープウェイ→初級ロマンスリフト→サンシャインリフト→メンズダウンヒル上中部に抜けるコースがあります。いずれもダウンヒルコースが滑れるのなら連絡はまったく無難です。

 

<ナイター>

滑ってませんが,プリンス前ゲレンデが滑走可能です。短いもののそれなりに面白いと思います。

 

<個人的感想>

全体の半分しか滑れなかったことで既に減点。レディースダウンヒルコースの閉鎖はともかく,ロープウェイ上部の非圧雪エリアは是非圧雪してさらにダウンヒル第2リフトを運行して欲しいです。現状のロープウェイ上部の非圧雪エリアは斜面は非常に高い資質を持っているものの非圧雪なことから滑走者を選びすぎており,またリフトが皆無なので滑りようがありません(繰り返し滑ることができない。最上部には第1ゴンドラでしかアクセスできない)。

次にメインとなるメンズダウンヒルですが,本邦屈指の長さは本物です。ただゴンドラに乗る(乗車時間12分)しか選択肢がないのが割と痛いです。斜面そのものはクルージング派には満足の行ける内容ですが,中央部の緩斜面,上部・下部が中斜面ではなく急斜面中心であるのが斜面を捉えることができていない中級者にはツライです。感覚的にはニセコアンヌプリをもっと急斜面中心にした感じかな。でも快適なのは間違えないです。

次にロープウェイ上部ですが,前に述べたとおりこのエリアの2/3程度が非圧雪エリアになっており,残りは緩斜面で私的にはほとんど評価できません。

ロープウェイ下部は実質リフト1本で距離も短いですが,ここは侮れません。滑走感が高く,しかも人を選ばないので好感が持てます。

 

<評価>

ゲレンデの資質だけなら確実に★5つ。が,コクドの運営方法としてリフトを運行制限することでマイナス評価,それだけならまだ良いもののロープウェイ上部のおいしそうな斜面を繰り返し滑れないようにしている現状はどうしようもない。経費削減かは不明ですが,これではさらに人が来なくなってしまうのではないだろうか?ダウンヒルコースは確かに資質が高いですが,繰り返し滑るには距離が長すぎて練習ができずクルージングする以外選択肢がありません。繰り返し滑るにはロープウェイ上部の斜面が最適なのですが,それが出来ないので現状の雫石では滑走スタイルの選択肢が少なくなってしまってます。が,やっぱりダウンヒルコースは爽快です。ゴンドラに1回乗れば5kmのクルージングを楽しめるのはここだけではないでしょうか。コースも面白いのでこのエリアだけの為にいく価値は十二分にあります。またプリンスゲレンデも良いでした。

結局,斜面資質は高いものの,(私の西武グループ嫌いを差し引いても)コクドの運営が下手の一言に尽きます。おしまい。

あ,でももう一回行ってみたいゲレンデの一つです。それくらいゲレンデの資質は高いです。

  ↑TOP